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イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち/澤宮優 を読んだ!

小学校から大学までバスケットボールを真剣にしてきて現在は主婦となりましたが、ふと大学時代の同期と集まり、過去を懐かしんでいた時に友人が発した「あれは絶対イップスだったよ」との言葉が何年も頭の中に残っていたようで、急にイップスについての書籍が読みたくなり購入しました。

 

これによるとイップスは医学的な用語ではないらしく、定義も特に決まっていないようですが、イップスが出やすい環境・要因があるそうでした。また解決方法にも似たような法則があるようでした。そしてそれを自らの経験に照らし合わせてもかなり納得いくものだったので、一人夜な夜なうなりながら読みました。

 

ざっくりと

環境

間がある(クローズドスキルの時が多い)/力を調整する必要がある

 

要因

心理的な要因・・・監督や先輩、周囲などからの圧力/完璧主義傾向/すべて理由を求める等

技術的な要因・・・下半身と上半身の連動が悪い/下半身がうまく使えていない/正しくないフォーム

脳・・・練習のしすぎによる脳神経の変化

の他に、その人の体格や危険を伴う競技では本能的な反射等いろんな要素が複雑に絡み合っているようで、簡単にあれをしたから治るとかいうものではないらしい。当たり前ですが。。。

 

でも、あんまり有名ではないから、イップスによるミスをやる気がないとか集中してないとか言ったり、そのミスをした人を糾弾するようなチームがあったりするように思う。

そしてそれは悪循環。

 

イップスから抜け出した人の工夫の方法は色々だったけど、間を作らない(例・ボールを取ったらすぐ投げる)、余計なことを考えない(例・一直線上にボールを投げることだけを考える)、正しいフォームの習得のような細かなものから、ポジション変更やトスを上げる方の手に重りを付ける等大胆に見えるようなものもあった。

 

私は大学生になってバスケットボールの左レイアップという簡単な動作でイップスとよぶのか分からないがミスが目立つようになった。3メンという3人一組で行う練習において3人の内誰かがレイアップを外すと3人全員がもう一往復しなければならないペナルティがあった。徐々に外すことが増え、自主練習はもっぱら左レイアップとなったが、小学生でも習得しているこのレイアップを、大学生になって練習するなんてと内心感じていた。ミスが起こるのははじめのうちは体が疲労している時で、無駄に力が入っていた。後に外さない右のレイアップと比較したところ、左レイアップでは疲労が溜まってくると腕の向きが横を向いてボールを放り投げていた為、そこに外しやすい原因があることがわかった。それらを直したらミスが減ったものの完璧になくなったとは言えず、外してしまうことが続いていた。外して連帯責任で仲間を走らせてしまうのが申し訳ないという思い、先輩のため息などを気にしている時間などが増えていった。

これらのことから、私の場合は技術的な問題から始まり、それにより心理的な要因が膨らんでいったように思う。

 

またこの本で野球におけるイップスで手が長い選手がなりやすいという持論を持っている人がいたが、私はなんの自慢でもなく冷静に手脚が長い方で、なぬ!?当てはまるかもと驚いた。自慢ではないです。

さらに上半身と下半身の連動が悪いことが書かれてあり、またしても驚愕した。私のシュートフォームは非常に固く、ほぼ上半身のパワーに頼り切り、肩に無駄な力が入っていたようで、スリーポイント300本の練習があると一人だけ疲弊していた。肩(主に僧帽筋)がパンパンになっていた。周りはみんなそこまで疲れてない。これは後に力を抜く練習をしたことで、自分の中ではかなり楽にシュートが打てるようになったが、決してやわらかいシュートフォームではなかった。

手脚が長くてもうまく体を使えている選手は山ほどいるので、全員が当てはまるわけではないかもしれないが、なかなか本に書いてあったことは自分に当てはまっていた。

 

色々な練習を重ね4年間これに悩まされることになったが、この本の中でジストニアの方の脳の話が紹介されていた。スーパーざっくりで、練習しすぎたらそこの神経回路が強く使われ肥大し他の神経とくっついたりするらしい。ジストニアになった楽器演奏者が中指を動かそうとしたら、一緒に薬指も動いてしまうようなことが起こるらしい。これは休むしかないんやけど、シュートが入らないからといって猛練習するのは、今考えるとよけいにイップスを発症しやすい状態にしていたのかもしれない。これはただただ休むことが一番らしい。簡単にいうと脳のバグ状態らしい。

 

なにはともあれ試行錯誤しながら長い付き合いをしていた左レイアップ、改善の兆しが見え始めました。手首や腕のことを気にせず、絶対決めようなどと考えず、ただひたすら足のステップを動きながらカウントするようにし始めてから、ミスが格段に減ったんです。この本で野球選手が投球する時、足を踏み出して下半身を使うようにすると良くなった例が書かれとりました!やっぱり手先の力を調節しようとすると余計イップスが出やすくなるんだな!下半身なんだな!と納得。

 

しかし、私に克服の兆しが見えた頃、もう一人のチームメイトが同じような状態になりました。その子もレイアップがバックボードの裏に飛んでいくなど、私以上に分かりやすかった。今思うと10年以上バスケットボールをしてきた選手がこのようなシュートを打つのは異常事態のようだが、指導者はその子を糾弾し、みんなの前で2時間もそのことを怒るなどして意識が低い人みたいな感じでまとめようとしていた。結局その子は引退するまでその状態が続いた、、本人は誰よりも慎重になって外さないぞって思っているのに。

 

この経験を踏まえて、イップスが発症しないためにどうすればいいか考えた時に、本に書いてくれていた工夫などに加え、私は練習の雰囲気づくりをもっと意識したほうがいいような気がした。様々な競技でよくある、罰ありメニュー(誰かがミスしたら全員腕立て20回とか走る本数が増えるとか)はよくないんじゃないかと思った。一般的には、緊張感をもってしなさいよということなんだろうけど、この「罰」ってどうなんだろう。それだったら成功したら報酬みたいなプラスな感じの練習の方がいいんじゃないかと思う。よく学習とかテスト問題の正答の実験で、罰がある実験者となにもない実験者と報酬がある実験者とに分けたら、罰のあるグループの成績が悪かった的なものってあるやん。

それとかチームが使う言葉もポジティブにしていったらいいんじゃないかな。

「ミスしたらあかん」→「連続で決めよう」

「ボール落としたらあかん」→「ボールをつなごう」みたいな

日本の方がアメリカに比べてイップスみたいなんが多いんってやっぱり、アメリカの方が選手のいいところみようとする文化があるからなんじゃないかとか思ったり、一つのミスを追求しすぎるんも、分析にはいいかもやけどやりすぎたらよくないと思う。萎縮するような中では良いプレーってうまれない気がするんですわい。

子供をしかりすぎる親の元では子供は自由な発想とかしにくい気がするし、なんせ罰とか萎縮させることで人をコントロールしようとする環境って良くないと思う。

 

そしてミスしたところを克服するために練習するんは当たり前にめっちゃ重要なことやけど、それに囚われすぎるのはよくないと思う。脳のところに書いてあったけど、バグが起こりやすくなるらしいからさ、神経の。やりすぎはあかん。なんかゲシュタルト崩壊のようやね。過ぎたるは及ばざるが如しとかいう言葉もあるしな。先人たちが導いてくれていますわ。

 

この知識があればもって大学時代のチームは良くなっていたのかもしれない。とか思うと知識っているなぁと思う。あの当時はただただ駄目な人間として怒られていた。

スポーツの中でこういう症状の認識が広まるといいな。